2020年5月28日木曜日

RHF2019年の売上高48億ユーロ

RFHは4月23日に2019年の決算を発表した。
切り花・鉢物の入荷量は123億本となり、前年比1.5%増だった。入荷量が増え単価も上がり、売り上げ高は48億ユーロとなった。前年比3.1%増。切り花・鉢物の出荷業者は5,406件で、2,458件の業者が商品を購入。コストが抑えられた結果、収益は560万ユーロとなった。

CEOのS氏「この5週間で、花業界は過去に経験したことの無いほどのダメージを受けた。だが、政府の緊急援助6億ユーロのお蔭で、業界はこの厳しい時期を乗り切れると確信している。」「世界の花の需要が回復してきたら、すぐに対応できるようにしなければならない。その兆しは見えているが、まだ時間がかかるだろう。そのため、我々の戦略であるデジタル化を早く進め、今年末には全ての取引がデジタル市場で行われるようにしたい。さらに、2021年の全国統一競りの導入を目指し、スピードを上げてその準備に取り組んでいく。これらのプロジェクトは、市場のコストを構造的に引き下げるために必要不可欠だ。」

RFHは、世界の花の需要が急激に落ち込んだ時、生産者へは一時的にクロックへの出荷量制限を行い、銀行とは市場会員への緊急貸付の約束を取り付けた。その他、自社の経営基盤を安定させるための対策を取った。

予想される2020年の大損益があっても、RFHには緊急な財政問題は発生しないほどのゆるぎない基盤がある。CFOのM氏「資金の一部利用、銀行との密な話し合い、政府の援助対策申請などを行いながら、組合の存続と雇用の継続を第一に考えていく。借りたお金は、もちろん返済してしていかなければならない。そのためにコストを削減し、時代の変化に合わせて我々の業務内容も適応させていく必要がある。昨年はコスト削減に成功している。今年は、さらに必要に迫られた状況の中、コスト削減を進めていく。戦略プログラムに投資し効率化を推し進め、新しい収益モデルの開発を速め、業界での立場を強めていきたい。」
RHF4月24日


RHFは、新型コロナウイルスの影響で過去に無い打撃を受け、今年は数百万ユーロの損失を予想している。
ピリオド3の売上高は、前年よりも3億5千万~4億ユーロ少なかった。これは2019年同時期の売上高の40%に当たる。
コロナ禍の打撃を出来るだけ少なくするために、RFHは緊急資金援助等の申請を行ったり、人材派遣会社スタッフの雇用をストップする、建物の修復やメンテナンスなどを見合わせるなどの対策を取った。また、RFHには留保資金1億9500万ユーロがあり、これも使用する予定だ。この他、メインバンク3行に追加融資を依頼した。一方、今年は生産者、買参人の手数料は値上げしない方針。

この他、RFHは、新しい戦略をなるべく早く導入したい考えだ。フロリディを利用した完全デジタル取引、全国統一競りシステムの2021年導入、新しいロジスティックサービスと支払い方法の開発は、引き続き行っていく。

「長期の目線で考えると、経済が縮小していく可能性にも準備をしておく必要がある」とCEOのS氏。「予想は、マイナス1%からマイナス10%と分かれている。もし全ヨーロッパ
が経済危機に陥ったとしたら、需要は落ち込んでしまう。経済の伸びと花きの販売は相関関係にあるからだ。」「消費者が花を買う方法は、そう変わらないだろう。花店やスーパーマーケットでの購買割合もそう変化しないと思う。しかし、Eコマースは加速していき、直接販売が増える可能性は高い。直接流通のスピードアップ化のために、ロジスティックサービスの開発は欠かせないと思っている。」

Bloemisterij4月24日





キューケンホフ公園。今年はオープンすること無く閉園してしまいました。
開園期間中に23本のビデオが作成され、バーチャルで2200万人が訪れたそうです。


2020年5月1日金曜日

コロナにまつわる色々。ケニア

<航空貨物運賃の高騰で、ケニアの花の輸送厳しく>

大取引先のヨーロッパ諸国で新型コロナウイルスによるロックダウンが続き、ケニアの花き産業は大きな打撃を受けている。KFC(ケニア花き協会)によると、世界的に回復の兆しが見えてきて注文が少しずつ増えてきたのに、注文増加に対応できる航空貨物のスペースが足りない状況となっている。感染蔓延前の航空貨物の受け付け可能量は、5000トン/週。現在は野菜、切り花、魚など、生鮮貨物全体で1300トン/週しかなく、現在の輸出需要3500トン/週には足りない。

3月中旬にケニア産の花の注文が激減し、輸出を停止。キャンセルされた多くの輸送業者は、花に代わる貨物を探した。旅客機も運航停止中のため、その貨物スペースも使えない。現在、貨物専用機への需要は、供給よりも多い状況となっている。
このような状況で、航空各社は運賃を大幅に値上げしている。現在、ナイロビから主要取引地までの航空貨物運賃は今までの2倍以上となっており、輸出業者はこの法外な運賃を支払えない。

KFCは、花き生産者が切り花を輸出出来るような緊急支援策が必要だ、と言及した。「輸送コストを皆で共有するモデルを作れれば、輸出業者の負担を軽くできるだろう。そうやって皆でこの状況を乗り切りれば、暮らしを守ることが出来る。」

ケニアの切り花産業は約15万人の雇用を生み出しており、労働者の大半は女性である。年間約11億5千万ドルの花き商品を輸出している。
4月22日Bloemisterij

<ケニアの切り花輸送、危機的状況>
ケニアでは、通常なら45~50機の貨物専用機がケニア産の切り花を世界中に運ぶのだが、現在は僅か12機だけである。また、旅客機の運航停止も続いている為、客席下の貨物スペースを使って花を運ぶことも出来ない状況だ。
貨物のスペースが限られた状況で、ケニアでは1㎏あたりの航空貨物運賃が急騰している。

全ては3月13日に始まった。「この日、RFHでは供給過多でクロックでの花の価格が急落した。16日になると、多くのケニアの切り花生産者は、主に仲卸業者向けのバラ輸出をストップした。小売店向けの注文はまだ大丈夫な状況だった。」と、K+N社の生鮮貨物担当O氏。

ケニアからの航空貨物の3分の2は切り花なのに、それがほぼ全て無くなってしまった。航空各社は他の貨物を探し始め、医療用品などの輸送に切り替えた。また、ロックダウンが続いていたため航空貨物が滞っていた中国にも向かった。

航空各社は、東アフリカ、ケニアから貨物を運ぶ航空機を引き払ってしまった。その直後に旅客機も飛ばなくなり、さらに追い打ちをかけた。

貨物専用機は1機で100トン、旅客機は20~25トンの貨物輸送が可能である。旅客機での貨物輸送は、ケニアの航空貨物量全体の約30%を担っている。
4月29日Bloemisterij


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生活必需品として見なされなかった花店やガーデンセンターの営業再開が、ヨーロッパの多くの国で認められるようになりました。
これで少しずつ花の売れ行きも元に戻るんだ、、とホッとしたところに、貨物スペースが足りなくてケニア産の花の輸出が出来ない、というニュース。自分の都合で振った彼(女)を、状況が変わったからよりを戻したい、と急に言われても困るがな、、だよねぇ(例えが違うかも知れないけど汗)。
生産コストの安いところに生産地を移して、上手く回っていたと思っていたけれど、非常時には機能しないのが分かってしまいました。オランダで1本20セントで買えた小輪40㎝のバラは、運賃が2倍になったらいくらになるのか。アフリカ大陸に花の消費地があれば、まだ少しはどうにかなったかもしれませんが、生産・輸送コストと販売コストが合わないバラは、ケニアから出荷できる日まで時間がかかりそうです。

そういえば、今日のオランダ産赤バラは、卸で60㎝1ユーロ超えでした。
母の日と言えば日本ではカーネーションですが、ヨーロッパではバラが人気。東アフリカからのバラが希望量通り入荷しない状況が続けば、オランダの数少ないバラの生産者にとっては、今はチャンスかもしれません。

新型コロナウイルスの感染者の増加が減少傾向とはいっても、油断はできない状況は変わりません。それでも様々な店が開き、買い物もできるようになるのは、心理的には大きな変化です。
少し規制が緩んだ状況でしばらく暮らし、また次の規制緩和の段階に進めますように。。。
4年前に行ったオランダ北部の花屋さん