2020年4月22日水曜日

オランダの花き業界とコロナにまつわる色々

<花き輸出は、一週ごとに1億ユーロの売り上げ損失>

オランダの花き輸出業者は、新型コロナウイルスの影響を受け、売り上げを大きく落としている。フロリダータの統計によると、今年3月の売上高は、前年同月比32%の4億3千万ユーロだった。3月最終週だけで、77%もの売り上げ減となった。

2020年第1四半期の輸出売上高は、このため9%マイナスの15億6千万ユーロとなった。3月中旬から外国の取引先からの注文取り消しが増え、売り上げが減少した、と花き仲卸業協会のM氏。「6月末まで損失額は20億ユーロに上るだろう。政府の緊急支援策無しでは、多くの企業が倒産してしまう」
4月15日Bloemisteij


<切り花生産者の売り上げは劇的なマイナスに>

ラボ銀行の専門業界チームは、切り花生産業者は前年同時期に比べ、2020年第2四半期の売上高は70%減少、第3四半期は40%減となる、と試算した。

ラボ銀行が新型コロナウイルスの影響をまとめたレポートによると、全ての農業・園芸業で売上高が減少するが、花きはその中でも下げ率が大きい。オランダの切り花、鉢物、球根、樹木は、生産量全体の80%が輸出向けとなっている。
花きは、多くの国々で生活必需品として見なされなかった為、輸出が劇的に減少した。さらにイベント等の中止もあり、花の需要が落ち込んだ。花き業界にとって、3月~5月は花の需要が増える重要な販売時期だっただけに、新型コロナウイルス対策は業界全体に大きなダメージとなった。
4月16日Bloemisteij


<ベルギーのガーデンセンター、18日より営業再開>

ベルギーのコロナ対策は5月3日まで延長されたが、ガーデンセンターとDIYは例外とし、4月18日より営業再開を認めた。これら店舗は、国民のためのコロナ対策を実行できると判断されたため。

ガーデンセンターとDIY店は、スーパーマーケットと同じ対策を取ることが求められている。面積当たりの客数を限定する、客と客の距離を1.5m離し、それを守ること、など。
4月15日Bloemisteij

<ドイツの花店、4月27日より営業再開>
ドイツでは、4月27日より花店の営業が再開する。800㎡未満の規模の店が対象。
再オープンの際には国の安全基準を守るのが条件となる。先週までは、州によってこの基準が異なっていたが、現在は大筋で統一されている。
ドイツBGI(花き卸・輸入業の協会)によると、会員であるDIYやガーデンセンターは、今回の規制緩和を歓迎している。また、ほとんどの個人花店もこの規制緩和を享受できる。
国の安全基準のひとつに、店内で客どうしが距離を保てるようにすることが盛り込まれている。一人の客につき20㎡のスペースを取る、列の床には離れる距離が分かるようなラインを引く、(デビット)カード支払い、客も店のスタッフもマスクを着用する、など。
4月20日Bloemisteij


<イギリスのガーデンセンター、5月中旬より再開可能か>

イギリスのHTA(園芸業協会)会長は、業界紙に「ガーデンセンターは、新型コロナ感染の中にあって、再オープン可能な小売業として有力」と語った。
HTAは、再オープンする際の安全対策計画をイギリス政府に提出している。「スーパーマーケットの対策よりもしっかりしている」と会長。
とは言え、生活必需品以外の小売店の閉鎖を含め、イギリスのコロナ対策がいつまで続くのか、現状ではまだはっきりしていない。「夏以降に感染拡大の第二波が来るのではと、首相が恐れている為、ロックダウンはまだ3か月続く可能性もある。」と月曜日の新聞に意見が載った。

現在、イギリスのガーデンセンターなど植物を扱う店は、ネットでのみ販売が可能。先週はとうとうバーチャルの列がお目見えした。混雑を避けるためサイトへのアクセス数を制限し、何人待ちかが分かるようになっている。
4月21日Bloemisteij


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オランダは、昨日(4月21日)の首相発表で、4月28日までだった外出自粛等の規制が5月19日まで延長になりました。また3週間の延長です。。

大きな変更は、小学校が5月11日から再開することです。ただし、密集を避けるため、クラスの人数を半分に分け交互に登校する。という条件が付きました。これにより学童なども再開しますが、学校登校のスケジュールに合わせて預けられる子供数が半分になります。スポーツも、人との距離を保つのを条件にトレーニングは行っても良い、となりました。
人と直接接触する業種、美容院、マッサージ、レストランなどは5月19日まで営業禁止。
イベントの禁止は8月末まで延長。

オランダの感染者は3万人を超えましたが、先週あたりから入院患者も死者数も少しずつ減少しています。だからと言って気を緩めてはいけない状況である、というのを踏まえた上で、4月29日から規制を少し緩めて様子見をしていこう、という3週間になりそうです。


2016年5月のキューケンホフ公園。元の里山風日本庭園があったところ。


2020年4月16日木曜日

農・園芸業に6億5千万ユーロの追加緊急支援策

オランダ農業・自然・食品品質省は、新型コロナウイルスの影響で業績が落ち込んだ花き・果菜生産に6億ユーロ、フライドポテト用のジャガイモ生産に5千万ユーロの追加緊急支援をすると発表した。これらの業界は、輸出が不可能となったために商品の供給過多に陥ったり、国内の飲食店閉鎖によって販売先を失うなどの経営危機に直面している。

花き・果菜園芸業に対しての損害支援政策費は6億ユーロ。この支援策は、相当な売上減少があった企業に適用される。また一方で、この業界では商品の栽培と収穫を思うように停止することが出来ない。そのため、企業は固定費だけでなく、商品コストも継続的に支払わなければならない。支援の基準は、売り上げ損失の30%は企業が負担とし、損失の残り70%については、政府がその大半を支援・補償する。
申請方法や申請の詳細に関する情報は近日中に発表する。

4月15日RFH

3月17日に発表された緊急支援政策は、農・園芸・漁業などにも適用できる包括的政策です。政府は、万が一問題が浮上した場合に素早く対応できるよう、この政策パッケージがそれぞれの業界で機能しているか、モニタリングを続けています。(政府広報ページより)

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3月16日19時にルッテ首相が新型コロナウイルス関する国の方針をスピーチして以来、インテリジェント・ロックダウン中のオランダ。その翌日に企業やフリーランスへの支援策が打ち出されたので、気持ちが落ち着いたのを覚えています。

レストラン閉鎖、外出自粛など国民の行動規制内容は他のヨーロッパ諸国とほぼ似たようなものなのですが、首相は「成熟したオランダ国民の行動をもってすれば、敢えて強い規制をかけなくてもこの難局を乗り切れると信じる」とオランダ人の良識に訴え、この状態を「インテリジェント・ロックダウン」と呼びました。お蔭で、食料品以外の店も開いているし、強い外出規制もかかっていません。とはいえ、やはり天気につられてかなりの数のオランダ人が海岸や球根畑、森へ繰り出し、そのたびに、テレビで外出自粛を訴えています。
先週末のイースターでは、キューケンホフ公園付近の球根畑はかなりの人出だったそうで、テレビではリッセ市市長が怒りのインタビュー。恐らく今週中に大半のチューリップの花首が切られることになるようです(泣)。

ネットでは、切り花チューリップの生産者(グループ)が、お得なまとめ買い情報を流しています。30本~50本が最低単位で、価格は10ユーロ前後から。
花店も通常営業をしています。コロナで家に閉じこもる時間が長くなる分、散歩がてら花を買いに来たり、配送を頼む人が多いそうです。市場で沢山の花が廃棄される映像を見たため心配していたのですが、少なくともオランダ国内の花屋さんは頑張っています。

50本まとめ買いのチューリップ。ピオニー咲き。
4日後くらいから全部一緒に満開になり、妖艶な雰囲気。


2020年4月15日水曜日

フロリアード2022、開催延期か

10年ごとにオランダで開催されているA1クラスの園芸博覧会、フロリアード。次回は2022年にアルメール市で開催されることになっている。しかし、新型コロナウイルスの経済への影響は大きく、スポンサーや参加団体探しが難しくなるのは明らかだ。この状況を受け、アルメール市議会では、フロリアード2022の中止、1~2年の延期または縮小を考慮に入れた調査を行う必要があると結論を出した。

市のフロリアード委員会は4月7日に行われた会議で、上記3つのシナリオについて調査するよう指示を出した。内容は、どのような経済的・法的結果が伴うのか、サポートはあるのか、そして、どのような計画に基づいて進めていくべきなのか、シナリオごとに調査する。
委員会は5月初旬に調査結果を市議会に提示し、どの案にするか決定する。予定通りの日程で園芸博覧会を開催するというオプションは無い。助役H氏「現在の新型コロナウイルスの影響を見る限り、予定通りというシナリオは現実的な選択肢では無い。もし委員会が残念な結果を提示してきたとしても、それを受け止めるつもりだ。そうならないと願っているが。今はどの国もどの企業も他にやるべき事が多すぎるから、フロリアードへの参加を考えるのは、最後の最後になるだろう。」

差し当たって、フロリアードの建設・造園準備は予定通り進めていく。フロリアードBVのC代表「フロリア―ドは開催されるという方向で仕事を進めていく。今のところ、仕事を止める理由は見当たらないので。また、スポンサー探しや参加団体の募集も引き続き行っていくつもりだ。」
4月9日BloemenBlad

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アルメール市が延期を決定したとしても、国際博覧会事務局の承認が無ければ、日程変更が出来ないようです。フレボランド州のテレビ局HPによると、新型コロナウイルスの影響で今年開催予定のドバイのエクスポ2020が1年間の開催延期を申請。これが承認されれば、ドバイでの開催は2022年3月31日までとなるので、フロリアード2022の4月オープンとほぼ重なってしまいます。カタールでも2021年に園芸博覧会が開催される予定になっており、イベントひとつをずらすと他のイベントも、次々と見直しが増えていくのですね。

フロリアード2022には当初の予算をかなり上回る準備費用がかかっていて、開催市の負担も相当膨れ上がっています。今回の開催日程と規模の見直しが吉と出るよう、祈るしかありません。

毎年4月第1週末に開催される、花き生産者(温室)のオープンデー。
今年はコロナのため中止になりました。懐かしい写真を見てなごんでます。